睡眠時無呼吸症候群を歯医者で治す!?

よく眠ったのに疲れが取れない・・・
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に呼吸が止まることで、よく眠れない、眠っても休んだ気がしないなどの症状が現る、不眠症の一種です。
生活に悪影響を及ぼすのはもちろんの事、重症化すると命に影響を与えかねない病気です。
当院では、専用機器を利用して睡眠時の状態を測定したうえ、症状に応じて医科と連携した治療を進めて参ります。
特に身体への負担が少ないスリープスプリントによる治療を、専門的に行なっております。
以下のグラフをご覧ください。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの、睡眠時の呼吸状態を測定したものです。
睡眠時の呼吸状態 男性(62歳) |
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スリープスプリント未装着時 |
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スリープスプリント装着時 |
一晩のうちに5回も呼吸停止状態に陥っていましたが、スリープスプリント装着後は呼吸状態が安定し、無呼吸状態に陥らなくなりました。
あなたは睡眠時無呼吸症候群ではありませんか?
以下の質問に当てはまるものはいくつありますか? 睡眠時無呼吸症候群の関連性が判ります。
- 寝るのに非常に時間がかかった、もしくは全く眠れなかった。
- 夜間、睡眠途中に目が覚めて、かなり困っている。
- 起きたい時間より早く目覚め、それ以上眠れなかった。
- 睡眠時間が足りない、もしくは全く眠れなかった。
- 睡眠の質はかなり不満。
- 日中の気分は、かなり滅入った。
- 日中の活動は、非常に低下している。
- 日中、眠気が激しい。
3個以上当てはまる人は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
受診・ご相談される事をおすすめいたします。
睡眠時無呼吸症候群とは
覚えている方もいらっしゃると思いますが、2003年2月山陽新幹線の運転手(身長170cm、体重100kg)が、前日にしっかり睡眠(10時間)をとったにもかかわらず、時速270kmで8分間、26kmにわたり居眠り運転をしました。
幸い自動列車制御装置が作動し、岡山駅ホームの途中で自動停車したため、大事故にはつながりませんでした。運転手は車掌に起こされるまで熟睡し、その後の検査で睡眠時無呼吸症候群と診断されたとの報道で、この病気「睡眠時無呼吸症候群」が一躍有名になりました。
症状について
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸(呼吸が止まること)や低呼吸(呼吸の低下)が繰り返される病気です。その結果、十分に睡眠がとれず、日中の眠気、仕事の能率低下、居眠り運転事故などを引き起こしやすくなります。
また、無呼吸や低呼吸は循環機能に負担をかけるため、不整脈、高血圧、心不全などの症状が高い確率で現われます。
代表的な症状は大きないびきや昼間の眠気ですが、全く自覚症状がない人もいます。
以下に主な症状を列記します。
・大きないびき・睡眠中の多動・夜間の頻尿・夜尿症・熟睡感の欠如
・性格の変化(イライラ・キレやすい・うつなど)・夜間の寝汗
・夜間の咳・睡眠中の窒息感・息切れ・あえぎ呼吸・早朝の頭痛
・性機能低下(男性・ED)・不眠・日中の強い眠気・倦怠感
・集中力の欠如・歯ぎしり・ドライマウス など
睡眠時無呼吸症候群の治療法
外科手術
外科手術は睡眠中の気道の閉塞を防ぐために行います。口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)、いびきのレーザー手術(LAUP)、アデノイド摘出術等の方法があります。
以前は多用されていましたが、1998年にCPAPによる治療が、2004年にスリープスプリントが健康保険適応になったため、現在では外科手術はほとんどおこなわれておりません。
CPAP(持続性陽圧呼吸装置、シーパップ)の使用
鼻マスクを装着して加圧した空気を気道に送り込むことで、気道の閉塞を防ぐ装置です。
一晩中、陽圧がかかることによる不快感があり使用できない人もいますが、どこでも簡単に使用でき、最も効果の高い方法です。
主に中程度から重度の睡眠時無呼吸症候群の治療に用いられます。
この装置は、医師の診断のもとに使用するので、歯科での使用はできません。
スリープスプリント(口腔内装置)の使用
スリープスプリントとは、寝る時に下あごや舌を持ち上げるように工夫された口腔内装置です。鼻マスク(CPAP)を使用する治療と併用して用いられることもあります。
スリープスプリントは、身体への負担が少ない治療法として用いられますが、効果は高く、気道が開き空気が通る事でいびきや無呼吸が減少して熟睡できるようになります。
スリープスプリントが適用となるケースは、いびき症、軽度から重度の睡眠時無呼吸症候群で、鼻マスク(CPAP)による治療が困難な場合などです。
スリープスプリントが適応にならないケースは、重度のあごの関節の病気(顎関節症)や重篤な呼吸不全です。
スリープスプリントの保険診療について
医師(※)の診断・歯科医師への治療依頼・検査結果によって、スリープスプリントを保険診療で作製する事ができます。
※医師 とは
内科、循環器科、循環器内科、呼吸器科、呼吸器内科、耳鼻科、耳鼻咽頭科、形成外科、美容外科、精神科、神経科、神経内科、小児科をいいます
医科での検査の結果、医師に睡眠時無呼吸症候群と診断されなかった場合は、自由診療(自費)によってスリープスプリントを作製する事となります。自由診療ですので、検査をおこなっていない方、いびき症の方(軽度の症状)でも作製可能です。
スリープスプリントによる治療の流れ
ご相談(初診時)
ご来院前にご相談・ご質問をされたい方は、電話・メールにてお気軽にお問い合わせください。ご相談のみでも構いません。
ご来院いただきましたら、症状をお聞きした後に治療について具体的なご説明いたします。医科からの紹介状をお持ちの方はご持参ください。
はじめに簡易検査(※)をおこないます。ほとんどの方がスリープスプリントの適応になりますが、適応にならない場合は、紹介先医療機関での治療(CPAP、外科手術など)となります。
※簡易検査とは
睡眠時無呼吸症候群をはじめとする、睡眠呼吸障害を診断するための検査です。腕時計ほどの大きさの装置(右上の写真)を自宅に持ち帰って、睡眠時の呼吸状態などを測定します。
口腔の検査
お口の中を拝見し、噛み合わせなどを調べます。必要に応じてレントゲン写真を撮影して、分析をおこないます。
一部のスリープスプリントは健康保険適応外となります。詳細はお問い合わせください。
治療
歯の型を取り、スリープスプリントを作製してお渡しします。
睡眠時にスリープスプリントを装着して寝るようにします。
- 正常な状態
気道は十分に開いています。
- いびき、睡眠時無呼吸症候群の状態
肥満などで大きくなった舌が気道をふさいでしまい、呼吸が妨げられます。
- スリープスプリント装着時
舌を持ち上げ気道を広げるので、呼吸がしやすくなり、いびきをかかなくなります。
定期健診
スリープスプリント装着後に異常がなく経過が良好でも、6ヵ月〜1年に一度の頻度で定期健診を行います。
定期健診では、スリープスプリントの摩耗(削れ具合)や破折がないか、あごの関節や歯、歯ぐきに異常がないかチェックします。


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